母も祖母も肩こりに悩まされてきたとあって、その孫・娘である私が肩こりに悩まされるようになるのは、誰もが、自分自身だって想像の範囲内だった。小さな頃から、夜になると母からは「肩を揉んで」と言いつけられ、ガチガチに硬くなった方を小さな手で一生懸命もみほぐしたものだ。その度に、「楽になった」と言われたが、その返す刀で「肩が凝って歯茎が腫れる」なんてことを言われがっかりしたものである。
しかし、時が経ち私も大人と呼ばれる年令になってから、その時の母の辛い心情が理解できるようになったのである。
例えば、月のものが来る直前など、なんてことのない動作が肩こりにつながり、きゅううううっと肩が詰まっていくような感覚になる。自分で揉んでみても、シップをしてみてもほぐれない。お風呂に入っても、だめ。鎮静作用がある塗り薬を塗ると少し気分が紛れるけれど、それだけだ。仕事に追われ、肩こりへの対策に十分時間がとれなくなった時、私は意を決してマッサージやリラクゼーションを生業とする友人に仕事を頼んだのだった。
「ほぐして欲しい」と。
すると、どうだろう。
あれだけ詰まった感じがしていた肩がスーッと楽になり、肩こりからの偏頭痛すら楽になったのだ。人の温かい手で時間をかけてほぐしてもらう、それが肩こりへの一番の薬なのだと実感した瞬間だった。この強烈な初体験ののち、ヘビーな利用者になったのは言うまでもないことであろう。
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